「町田にほんごスクールネット」の会員数は、現在(2022年)43名で、2つの活動をしています。1つは市の教育委員会からの依頼を受けて日本語を十分理解していない小・中学生に日本語の指導を行うこと(学校支援)、他の1つは学校支援をしている学習者の中で更に学習をしたいという中学生の希望者に土曜日の午後2時間学習を支援する(中学生教室)という活動です。

  • 学校支援

 町田市では、以前は小・中学校に「日本語を十分理解していない小・中学生」が転入してくると、学校長や教育委員会がボランティア協会などを通して個々に指導者を探していましたが、2005年に指導者が集まり「町田にほんごスクールネット」を組織しました。以後、「日本語を十分理解していない小・中学生が転入してくると、学校長から教育委員会を通してスクールネットに依頼があり、会員の中から諸条件を考慮して指導者を決め、指導に当たるようにしています。町田には一般の学習者に日本語を指導している組織が大きなもので3つあります。初めのころはその3つの組織のメンバーがほとんどでしたが(20~30人)、現在は組織以外の人も会員になっています。依頼される子どもは、学年も日本語の理解の仕方も多岐にわたっているので、指導時間や指導内容などは学校とよく相談しながら進めています。

 指導は、日本語の指導のみに限られており、1日2単位時間、週2回、年間100時間以内という枠で(2022年度)、ほとんどが国語、社会等の授業時に別室で日本語の学習をする形で行われています。なお指導者には市から1時間1100円支給されています(交通費はありません)。転入してくる子どもたちは、日本の友達との簡単な会話はすぐできるようになりますが、授業に関してはほとんど理解できず、授業中はただぼーっとしていることが多いようです。

 学習者はここ数年増加の傾向、特に今年度は急増しており、1人の指導者が2~3人の子どもを掛け持ちで受け持つという厳しい状況になっています。現在、ボランティアを募集していますが、なかなか集まりません。教育委員会ともども、この先を心配しています。

  • 中学生教室

 「町田にほんごスクールネット」が発足して3年後、中学生を指導している会員の中から「高校入試」に対する心配の声が上がりました。特に2年生、3年生で転入してきて日本語も十分理解していない生徒が何人もいました。「少しでも力になれたら」と有志数人が集まり、日本語だけでなく学校支援ではやっていない教科の支援も含め、土曜の午後1時~3時まで、希望する中学生を対象に学習を始めました。進路決定目前の3年生のみを対象にと考えましたが、中学生全体に広げて「中学生教室」としました。ただ、初めは学習する場所がなく、「町田市民フォーラム」内のあちらこちら空いている場所での学習でした。2~3年後に現在活動している「町田国際交流センター講習室」が定期的に借りられるようになり、学習者も多い時は15,6名、支援者が10名程度になりました。1対1の指導を原則に、支援内容も日本語指導だけでなく、作文、論文、数学、英語、面接等の支援(教えるのではなく、一緒に考える)等が行われ40名定員の部屋がほぼ満席になる状況でした。幸い毎年3~5名の3年生が全員高校進学できました(それぞれ個人や学校の力が大きいことは言うまでもありません)。

 2年前、コロナウイルスの流行によって、会場の閉鎖、人数制限等により「中学生教室」は休止せざるを得なくなりました。2022年6月、「町田にほんごスクールネット」の有志8名で再発足し、学校支援での学習者で希望する生徒とともにスタートしました。学習者には中学3年生はいないので、小学校の高学年の児童も含めて現在5名の学習者が参加しています。また、学習内容はほとんどが初歩的な日本語の学習をしています。